
転職活動で応募書類を作成する際、「特記事項の欄に何を書けばいいのか」「そもそも特記事項とは何か?」などと悩む人もいるでしょう。特記事項の書き方や記載例、特に書くことがない場合の対応方法などを組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
「特記事項」とは?
特記事項とは、「特別に記しておくべき重要事項」のことを指します。
通常の事項とは異なり、特別に相手に伝えておきたいこと、説明しておきたいことなどを記載するのが一般的です。業務における報告書などのビジネス文書や、公的書類となる契約書などで、特記事項の欄を設けるケースが見られます。
厚生労働省が発表している履歴書様式では、「本人希望記入欄」として特記事項を記載する欄が設けられています。市販の履歴書様式では、「通信欄」としているケースもあるようです。一方、職務経歴書はフォーマットが決まっていないため、「特記事項欄」を設置することも可能です。
特筆事項、特異事項、備考との違い
一般的に、「特筆」は、情報の中で特に注目すべき事柄を、「特異」は、特別にほかと違っていることを意味します。「特筆事項」「特異事項」は、特記事項と同様の意味合いで用いられ、ビジネス文書や公的書類などのフォーマットに応じてそのような欄を設けるケースが見られますが、転職活動の履歴書・職務経歴書で用いられることはほぼないでしょう。
一方、「備考」とは、参考・補足として伝える情報を指すため、「特記事項」に記載されている内容のほうがより重要事項だと認識される可能性もあります。なお、外資系企業などに応募し、英語でレジュメを作成する場合は、特記事項を「Remark」と記載するのが一般的です。
履歴書・職務経歴書に書く特記事項の内容とは?注意したいことはある?
転職の履歴書・職務経歴書に特記事項として記載する内容としては、連絡手段の希望や対応可能な時間帯を伝えるケースもあれば、「転居の予定がある」「入社日に制約がある」「育児・介護などの家庭の事情で、入社後の勤務時間に制約がある」など、事前に伝えておきたい情報を記載するケースもあります。
また、退職の背景や在籍期間の短さなどに不安を感じている場合は、その状況や理由について記載することも一案です。
特記事項の書き方で注意したいこととは?
職務経歴書の「特記事項」や履歴書の「本人希望記入欄」は、どうしても応募企業に伝えたいことがあるときに使用する項目です。応募企業に対する希望や要望を記載する欄と捉えるケースもあるようですが、例えば、働き方や待遇などに対する希望条件をまとめて記載した場合、書類選考の段階で「要望の多い人物」という印象を与える可能性があります。
また、志望意欲の高さや自己PRなどを書くケースも見られますが、基本的に「特記事項」や「本人希望記入欄」には、応募企業に事前に伝えておきたい重要事項のみを記載しましょう。
特記事項の書き方例【シチュエーション別に解説】
シチュエーション別に、特記事項の具体的な書き方例と解説を紹介します。
希望の連絡手段や対応できる時間帯を伝える場合
また、下記時間帯は現職の業務時間のため、電話・メールへの対応が難しくなります。平日/10時〜18時
メールまたは留守番電話にメッセージを入れていただければ、対応可能な時間帯に折り返しをさせていただきます。
解説
在職中に転職活動を進めている場合は、業務時間内の連絡対応が難しくなると言えます。また、職場に知られないためには、電話などによる連絡手段を避けたほうが安心できるでしょう。あらかじめ、希望する連絡手段と、対応できない時間帯を明確に伝えておくことがポイントです。
転居の予定がある場合
解説
転居を予定しており、全国に拠点がある求人や現住所からは通うことが難しい勤務地の求人に応募している場合は、特記事項欄にその旨を書いておくと丁寧です。応募している職場の近くなどにすでに転居が決まっている場合は、「20XX年X月XX日に○○県○○市に転居予定です。」と具体的な日付や転居先を書いておくといいでしょう。
入社日に制約がある場合
解説
欠員募集の場合、企業はすぐに現場に着任してもらいたいと考えるため、入社日を重視する傾向があります。入社日に制約がある場合は、特記事項欄などに記載しておくと、採用担当者が入社の目途をつけられるので判断しやすくなるでしょう。
家庭の事情で勤務地や勤務時間に制約がある場合
解説
育児・介護などの家庭の事情があり、入社後にどうしても対応できない事柄がある場合は、あらかじめ伝えておくほうが安心できるでしょう。
退職の背景を伝えたい場合
解説
退職の背景は、応募者の仕事に対するモチベーションや定着性を確認することができるため、採用担当者の多くは知りたいと考えます。やむを得ない事情により退職することになった場合は、応募書類に記載することも一案です。退職予定日が決まっている場合は、履歴書の本人希望欄か職務経歴書の特記事項欄に記載しておくと、採用担当者が入社日の目安にすることができます。
在籍期間が短い場合
解説
在籍期間が極端に短い経歴があることから、「短期離職したことが選考にマイナスになるのでは?」「定着性を疑われて書類選考で落ちるかもしれない…」などの不安を感じる人もいるかもしれません。前職(現職)を短期間で辞めざるを得なかった理由がある場合は、特記事項欄などに記載しておくことも有効でしょう。
特記事項が「特にない」場合の書き方は?「特になし」の言い換え例
特記事項は「どうしても伝えておきたいこと」を書く欄です。特に伝えたいことがない場合は、無理に書く必要はありません。
しかし、履歴書に空欄があると記載漏れと思われる可能性もあります。また、「特になしと書くだけでは、そっけないと思われるのでは?」と不安になる人もいるでしょう。特に記載することがない場合は、空欄にしておくのではなく「貴社規定に従います」と記載するのが一般的です。また、職務経歴書の場合は、そもそも特記事項の欄を設置しないことで対応できます。
応募書類の書き方に悩んだら転職エージェントに相談してみましょう
応募書類を作成する中で「応募書類に何を書けばいいのかわからない」「正しい書き方が知りたいけれど、逐一調べるには手間がかかる…」などと悩んだら、転職エージェントに相談してみるのも一案です。転職エージェントでは、転職支援のプロであるキャリアアドバイザーが応募書類の作成をサポートしてくれることもあります。
また、キャリアの棚卸しなどのサポートを受けることで、自分の強みが見つかり、よりアピールできる応募書類の作成に役立てられるかもしれません。面接対策などのサポートを提供している転職エージェントもあるので、活用してみるのもおすすめです。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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